ヒロシコ

 されど低糖質な日日

松屋のタッチパネル式券売機の前でうろたえる

一週間に2日やってくるうちの後の方の休日。連休ではないのでこの場合後先はほとんど関係ない。朝はふだんよりだいぶゆっくり起き出した。裏の古いアパートの改修工事が始まり屋根瓦を地面にポンポン投げ落としている音が近所中に響き渡っていた。案外気に障る音だがこういう広い意味での生活音はお互い様でうるさくても怒りの矛先の向けどころがないだけに却って厄介なのだ。

起き抜けにもかかわらずお腹が空いていたので手軽にカップラーメンの類でもと思ったがなかったので半分だけ残っていた冷凍チャーハンをチンして朝昼兼用ごはん。冷蔵庫に紅生姜的なもの(というか紅生姜そのもの)を探すも福神漬けとからっきょうしか見当たらず大きめのらっきょうを3個チャーハンには添えた。あと何か適当なおかずが欲しいところだが考えてみればチャーハンには細かく刻まれたおかずらしきものがあらかじめいっしょに炒められているのだった。

チャーハンをスプーンで口に運びながら余った方の手の指先でスマホを操作してタランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の上映時間を調べる。ふつうの2Dだとちょうどいい時間に上映がなかったためIMAXのチケットを予約。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』がどういう映画なのかそれほど知ってるわけではなかったがなんとなくこれわざわざIMAXで見るようなタイプの映画かなあと訝しく思ったけれどしかたない。どうしても今日見たかったから。

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少し早めに家を出てシネコン近くのドトールで時間を調整。アイス豆乳ラテ飲みながら映画の予習で「シャロン・テート殺害事件」について検索した。何かの記事で『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を見るに当たっては「シャロン・テート殺害事件」について押さえておいた方がいいというのを読んだので。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(長いので以降ワンハリと略す)は素晴らしく面白かった。感想はまたあらためて書くつもりだけども「シャロン・テート殺害事件」を調べておいたおかげで過剰とも思えるバイオレンスシーンにもしっかり目を背けずスクリーンを注視できた。

ディカプリオさんの脂の乗り切ったような円熟味のある演技とプラピさんのなんとも言えぬ男くささがカッコよかった。自分が出演した映画を劇場で見るマーゴット・ロビーさん(シャロン・テート役)のチャーミングさといったら。前のシートに素足を投げ出す最悪行儀悪い鑑賞マナーながら観客の反応を伺わずにはおれないところなんて可愛らしさMAX(IMAXとは関係ない)で悶絶するかと思った。映画には大満足した。でもこの映画にIMAXが必要だったかどうかはいまでも懐疑的だ。

というか僕はたぶん他の人よりも視野がずっと狭くなっているらしくIMAXのでかいスクリーンはやや持て余してしまうのだった。でも今日のところはそれしか時間が合わなかったのだから納得するよりしょうがない。あ、火炎放射器のところだけはIMAXでよかったとしみじみ思った。

映画終わりにカミさんとメッセージでやりとりして夜ごはんは僕が松屋のカレーを買って帰ることになった。ずいぶん久しぶりに松屋へ行ったら食券がタッチパネルになっていて戸惑ったが直感的に操作する。最初に「店内」か「弁当」かを選択。ここらへんの基本的な流れは前のボタン式と同じで安心した。次にカレーの項目をタッチして表示されたメニューの中からせっかくだからハンバーグカレーにした。ここまで順調。

面倒くさいので単一弁当を人数分買いたかったのだけど僕の探し方が悪かったのか画面のどこに目を凝らしても枚数をタッチするところが見当たらなくてうろたえる。歳を取るってこういうことだ。そうこうするうちに後ろに別のお客さんが並んだのでますます焦ってきた。しょうがないから同じ操作を人数分くり返して人数分のハンバーグカレー弁当を買った。もちろんその都度お金を投入してお釣りを回収してと面倒くささは別々の商品をそれぞれ人数分買う以上に大変なことになった。

カウンターへ行き食券を出そうとしたらカウンターにいた女性店員さんに番号でお呼びしますのでお席でお待ちくださいとぴしゃりと言われる。知らないうちに松屋はそういうシステムになっているのだとまたまた驚く。まるで銀行とか郵便局とか病院の整理券システムみたいだと思った。しばらく待っているとピンポンと音が鳴って店内のモニターに僕の食券番号が表示された。

カウンターに商品を受け取りに行くとカウンターの女性ではなく今度は奥から料理を作っている男性の従業員が出てきてすいませんカレーのルウが2人分まででなくなってしまったので後の分はご返金ということで対応させてもらっていいですか?と尋ねられる。咄嗟にそんなこと言われても困るんだけどと返答したけれどその場で他にどうしたらいいか妙案が思いつかずせめてもっと早く言ってくれればよかったのになあと内心やり場のない怒りがこみあげてきたがぐっと堪えた。

店員さんは謝ってくれたわけだし返金対応という具体案を示してもくれたわけだしなにより途中でカレーのルウがなくなることだってままあり得る話だしと思い直してここは諦めることにしたのだ。僕の後後の老年夫婦もビーフカレーとビールの食券を買っていたらしくそっちも僕とおなじようなことを言われていたようだがだからといってビールだけ店内で飲んで帰るのもアレだろうからはたしてどうしただろうか。

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結局不足分は近くのほっともっとでカツカレー弁当を買ってしのいだ。ほっともっとにはハンバーグステーキ弁当はあるがハンバーグカレー弁当はないのだった。ハンバーグステーキ弁当のハンバーグをハンバーグカレー弁当に流用すれば済むだけのような気もするがどだいマニュアルというものがあるのでそういう融通は利かないのだろう。人生はかようにままならないものだ。松屋のハンバーグカレーは正直ごねてまで買うほどおいしい代物でもないと思った。僕的にはほっともっとのカツカレーの方で正解だった。

ほっともっとのカツカレー弁当にはらっきょうを3個つけて食べた。都合今日一日で僕は6個のらっきょうを食べたことになる。らっきょうは6個だが夜は十五夜だ。あいにくの曇り空で月は見えなかった。つい先日までは暑い暑いと騒いでいたのになんだか急に肌寒くなってきた。そうなったら途端に物悲しくなるから人の心というやつは不思議なものだ。

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