ヒロシコ

 されど低糖質な日日

BLTって何の略か知ってますか?

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leestilltaolcomによるPixabayからの画像

“ 幽霊の正体見たり枯れ尾花 ” ということわざがある。前回のエントリーがお葬式の話で、今回が幽霊の話というのはいかにも出来過ぎているが、僕はなにも幽霊の話をしたいわけではないからご安心を。で、先刻のことわざの意味だけど、幽霊だと思って恐る恐る近づいてよーく確かめてみたら、枯れたすすきの穂だったよ、びっくしたなあもう(古っ)、ということ。

つまりそういう恐怖心があると、なんでもないものまでもがまるで幽霊のように恐ろしいものに見える。でも正体がわかってしまえば「な~んだ」ということがよくあるよね、というような意味なんですね。

で、実は、僕が今回したいのはことわざの話でもなければもちろん幽霊でも枯れたすすきの穂の話でもない。“ 幽霊の正体見たり枯れ尾花 ”とはちょっと意味合いが異なるかもしれないけれど、非常に似たような事例で、僕のなかで正体を知って断トツに「な~んだ」とヘナヘナ気力が萎えたものの話がしたい。

それが、BLT サンドイッチだ。

むかーし昔、ファミレスとかのメニューでこの BLT サンドをはじめて見たとき、まずなんて読むのかわからなかった。どういう意味かも当然わからなかったけれど、誰かに聞くのも、「え、お前ってばそんなことも知らないの?」と笑われそうで、以来ずーっと注文したいけどできない、食べてみたいけどいつもどうしようかなあと悩むメニューのナンバーワンが BLT サンドだった。

でもまあ時代の変化というか進歩というのはありがたいもので、そのうちインターネットというものが身近になり、あるときふと思い立って検索窓にそれこそ恐る恐る “ BLT ” と3文字のアルファベットを打ち込んでみると、な、なんと!

「パンに挿む食材として、ベーコン(bacon)、レタス(lettuce)、トマト(tomato) が用いられることから、それぞれの頭文字を取って名づけられた。」などと、にべもないことが書いてある。ベーコン・レタス・トマトでびーえるてぃ。ぼーいずびーあんびしゃす、みたいだけど全然ちがう。

ベーコンもレタスもトマトも日本語でもほぼそのままの読みだから、いっそう「な~んだ」感は計り知れなく強かった。そのままじゃん、っていう。もっとこう、高尚な意味でもあるのかと思った。こういうスタイルのサンドイッチを発明した人の名前からとったとか。サンドイッチ伯爵みたいに。

つまりアレですよ、それだったらなにも BLT でなくっても、TLB でも LTB でもなんでもよかったということなのだ。なんなら TRF でもよかった。よくないけど。BLT にはDJ KOOもSAMもいなからね。

そしてもしこれを純日本風にやると、パンに挿む具材がハム(ham)とキュウリ(kyuri)と卵(tamago)だったら HKT になって、それだとまるで AKB48 の姉妹ユニットみたいになる。贋物の HKT には指原莉乃さんは挟まってないけど。いや本物の HKT にも指原莉乃さんはもういないのだ。

っていうか、DAIGOかって、KY語じゃないんだからね、みたいな。←相当無理してる

ところで衝撃度からいえば BLT にはちょいと劣るが、BBQ というのもそうとう曲者ですね。当然知ってると思うけれど、バーベキュー(barbecue)のこと。何故か語尾の “ cue ” のところの “ C ” が勝手に “ Q ” に置き換わっている。

昔『おどるポンポコリン』という大ヒット曲を歌った B.B.QUEENS(B.B.クイーンズ)というグループがいたが(いまもいる)、それと非常に紛らわしい。しかもこのグループ名の由来が、B. B. King(B.B.キング)だというからよほどややこしいのだ。

ちなみに、僕は本格的な BBQ をこの歳になるまで一度も経験したことがない。ま、なにが本格的かという議論はさておいて、BBQ って、なんかリア充の代表のようなスポーツ、スポーツじゃなくレジャーですか、そんな気がして、キャンプの竈(かまど)は経験あるけど、賽の河原でやるようなちゃんとしたバーベキューというのはちょっと思い返してみてもやはり経験がない。

「竈」とか「賽」とか、キーボードの漢字変換だから出てくるけど、手書きだったら絶対書けない漢字を使ってみたかっただけです。で、 BBQ の Q 。勝手に置き換えたということでいえば、ネットスラングのDQN(ドキュン)もそれに近いものがあるし、なんといっても村上春樹さんの『1Q84』は、まんまそう。ジョージ・オーウェルの『1984年』をもじって、9 と Q の言葉遊びをしている。

村上春樹さんは実際全世界で翻訳本が読まれているらしいから、たとえば英語版ではどうなっているのかと調べてみたら、『One Q Eighty-Four』か、日本語発音のまま『ichi-kew-hachi-yon』かのどちらかだそうだ。案外つまらない。

海外版のタイトルはつまらないけれど、この言葉遊びのニュアンスを伝えるために、各国の文芸評論家みたいな人がそのつど、これはジョージ・オーウェルのー、とか日本語の 9(kyu)と Q をかけてそれを kew と発音させてー、とかなんとか、しかつめらしく解説しているのかと思うと逆に可笑しい。

ちなみに、「しかつめらしく」は「鹿爪らしく」とも書くが、鹿の爪とはまるで関係なく、真面目くさってというふうな意味だそうだ。「しかめっ面」とも似ているけれど、こっちは渋い顔のことで、人によっては「しかつめらしく」も「しかめっ面」も結局同じような顔になる人もいるかもしれないが、基本的には別の意味なので気をつけてください。

あと『1Q84』とB.B.キングつながりでいうと、スティーヴン・キングさんの小説『11/22/63』は日本語では「イチイチ ニイニイ ロクサン」と読むらしいですね。タイトルのあらわすところは、ケネディ大統領が暗殺された日付(1963年11月22日)のことだ。過去へ時間旅行をして、ケネディ暗殺を阻止しようとする男のラブストーリーで、上・下巻あるスバラしく面白い本だった。

ところで英語表記の年月って、どうしても月/日/年の順なのかこっちも気になって調べてみた。するとこれはアメリカ英語の話で、イギリス英語では、日/月/年の順になるらしい。とすれば『11/22/63』がイギリスで発売されると『22/11/63』というタイトルになる、かどうか(なっているのかどうか)まではわかりませんでした。