ヒロシコ

 されど低糖質な日日

『小さな習慣』を読んで~毎日ひとつから4つの “ ばかばかしいほど小さい ” 行動を自分に課す方法

結論はもったいぶらずいちばんはじめに書け、というライフハックもなにかしらそのての本で学習した言葉だっただろうか。

小さな習慣とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動 です。“ 小さすぎて失敗すらできない ” ものなので、気軽に取り組むことができ、それでいてびっくりするほど効果があるため、新しい習慣を身につけるには最適な方法といえます。

スティーヴン・ガイズ著『小さな習慣』(翻訳:田口未和)、僕はkindle版で読んだけれど、紙の本と同じおりこうさんに本を読むかわいらしい子グマのイラストが表紙の、とっても親しみやすい感じの本だった(原書はもっと厳つい感じらしい)。 

小さな習慣

小さな習慣

 

本文は上記引用箇所にはじまり、多少の言い回しを変えながら似たようなニュアンスの言葉がくり返しくり返し出てくる。“ 小さすぎて失敗すらできない ” のところが、“ こんなに簡単でいいの?というくらい ”  になったり、“ばかばかしいほど小さい ” や “ 小さすぎるは存在しない ” に変わることはあっても、言ってる内容はどれも同じ。

それだけのことを言うために、紙の本で200ページ足らずのほぼ全部を費やす念の入れようだった。著者がこの本のなかでもっとも伝えたかったこと、読者に届けたかった唯一のこと。結論はいちばんはじめに書く、の見本のような言葉は、7つの章から成る本書がまだ「はじまってさえいない場所」に無造作に置かれていた。続いて、

さっそくですが、小さな習慣をひとつ始めてみましょう。 この本を毎日最低2ページずつ、最後まで読み続けてください。 もっと多くのページを読むのはかまいませんが、少ないのはだめです。

という「小さな習慣」の端的なやり方やルールまでもが、あっという間に種明かしされる手際のよさである。思わず、毎日たった2ページ読むだけでいいのなら僕にもできるかも、と心動かされてしまいそうになる。いやいやいや、それが案外難しいことなどちょっと冷静になればとっくにわかっていることなんだけどね。

まあそれにしたって、著者自身が実践したという「小さな習慣」の代表的な成功例として頻出する、一日一回の腕立て伏せを課すだけでいつしか週3日のジム通いの習慣を手に入れた、という魔法の言葉のなんと魅力的なことか。

お笑い芸人オリエンタルラジオの武勇伝ネタ
「バス停毎日3ミリずらす!」
「すごい!2年を費やし自宅の前へ!」
みたいな、もはやギャグレベルのアイデアに正直僕には映った*1

バス停を毎日3ミリずらしたり、最低一日一回腕立て伏せするだけなら、簡単にできそうに思えるけれど、ただこれまでの僕だったらだんだん億劫になって、一日くらいサボってもいいかどうせ一回だけなんだから、と言い訳したり、忘れたふりしていつのまにかなし崩しに「小さな習慣」をなかったことにしていただろう。

あ、誤解しないでほしいのは、だから僕はこの本がたいして読むに足らない本だった、といってるわけじゃないですよ。漫才のネタレベルのことと馬鹿にしているわけじゃない。それどころかむしろ僕はこの本におおいに触発されたのだ。

  • 腕立て伏せを一回するのにそれほど強い意志は必要ない。
  • そういうあまりに小さな課題なので、急に何か不測の事態が起こったとしても、やらないで済ます口実にはならない。
  • 課題が小さいがゆえに、一度に複数の「小さな習慣」に取り組める。
  • モチベーションに頼らない方法なので、モチベーションが上がらない日でも実行できる。
  • 管理されているという意識がない。
  • その結果、もっとやりたいという気持ちになる。ひいてはそれが習慣になる。

ほらね、こうやって「続けられない理由がない」のを列挙してみるとなんだか本当にやれそうな気になるでしょ? 習慣を身につけるためのモチベーションを上げる方法についての本だったらこれまでにも読んだことがある。でも腕立て伏せ一回を毎日続けることを本気で推奨する本に、僕はいまだかつて出会ったことがなかった。

「小さな習慣」を実践するには同時に小さなルールも存在する。それがまたふるっているのだ。ルールというのはふつうやっかいで面倒なものだが、ここでいうルールは逆に「小さな習慣」の成功を阻害する要素を縛る(排除する)ルールである。

  • もっとやりたいと思っても、必ず小さなステップに分けて進むようにする。
  • いつも目標以上にやろうとは思わない。
  • 一度に4つ以上の小さな習慣に取り組むのは推奨しない。

ひとつひとつは小さな課題でも、量が多くなるとどれかひとつを怠ったり忘れたりしがちだからだ。わかるわかる。

  • 一日に腕立て伏せ一回などの「小さな習慣」を選んでおきながら、内心ではもっと多くの回数を決めておくような誤魔化しはやめる。

それを達成するためより大きな意志の力が必要になるから。

  • 小さな習慣には、〝小さすぎる〟という考え方は存在しない。どんなに小さな(簡単すぎる)ことでもそれを習慣にする。

一般的には目的のための「準備段階」として括られる行動をも、ここでは「小さな習慣」の一員としてなんのためらいもなく迎え入れていることに驚かされる。たとえば一日一回の腕立て伏せにもし自信がなければ、(運動用の)トレーニングウェアを取り出すために洋服ダンスの抽斗を開けるだけ、なんていう冗談のような「小さな習慣」もありなのだ。

などなど……全部にまでは触れないが、読んでおおむね以上のようなことが書いてあった。あと他にも「小さな習慣」がすぐれているとされる理論づけ、たとえば脳の働きに言及した章などもちゃんとありその点ぬかりがない。

僕はここに書かれていることを自分なりにアレンジしてすぐにでも実行したくなった。そういった人には、前半と中盤はさっと目を通すだけで、後半の第6章《大きな変化をもたらす「小さな習慣」8つのステップ》と第7章《「小さな習慣」を失敗させない8つのルール》を集中的に読めばいいかもしれない。著者も6章のはじめに、

この章は、あなた自身が小さな習慣を選び、実行していくためのステップ・バイ・ステップの利用ガイドになります。 ぜひ紙とペンを用意して、自分のプランを書き留めて いってください。本当に楽しいのはここからかもしれません。 

このように書き記している。つまり前半・中盤は「小さな習慣」に理論的な説明を加え、後半が実践編という構成になっているわけだ。 

さて、なにもみんなの前であらたまって発表するようなことでもないが、僕自身が決めた「小さな習慣」は次の3つです。教えのとおり欲張りもせず、ほんとうに小さすぎて穴があったら入りたいくらい恥ずかしいのですが、でも現状これだけだったらいけるかもしれないと思って。まさにトレーニングウェアを取り出すのと同程度の行動ですが。

  • kindle本を最低一日2タップする(読まないまでも)
  • はてなブログの編集画面を開く(下書きをしたり編集作業はしないまでも)
  • 英語学習アプリ duolingo(デュオリンゴ)を開く(レッスンをしなまでも)

この「小さな習慣」がやがては大きな習慣(目的)になりますように。そのうち成否もまたこのブログで報告できればと思っています。なにしろ過去には duolingo(デュオリンゴ)で失敗してるし、僕という人間はホント習慣が根付かない人間だもんなあ。

*1:実際のところ2年で2m19cmしか動かないわけだから、もともとバス停は自宅のほぼ目の前にあった。それこそギャグ。