ヒロシコ

 されど低糖質な日日

渦巻きについて考える

そろそろあのイヤな蚊が旺盛に活動をはじめるシーズンに入ったようです。暑いとはいえまだエアコンを入れるにはためらいがあり、夜間もサッシをあけたまま、念のためはやくも蚊取り線香を焚いています。うちでは昔ながらの渦巻き型の蚊取り線香を常備しているのですが、あの渦巻き型を見ていると、これを最初に考案した人はすごいなあとつくづく思いますね。

線香部分の総面積は小さくて済むし、まっすぐ1本の線香より燃焼時間は長持ちする。製作過程で2巻き同時にスコンと型抜きされるのでしょう。その証拠に、もともと箱には2巻きが組み合わさった状態で積み重なって入っています。製造工程的にも輸送コスト的にも断然その方が効率がいい。上手いこと考えましたね。型抜きで余った部分は再工程にまわすか、別の線香の原料として再利用すればいいのだし、素人考えでもまったく無駄がないですよ。

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というわけで、きょうは、いっそ渦巻きについて考えてみることとします。というか無性に考えたくなった。渦巻きについて考えるには、きょうという日は絶好の日だという気がしてきました。

たとえばここに、一枚の画用紙があるとします。大きさも形も位置も自由でいいから、とにかく渦巻きを描いてみるようにといわれたら、あなたはどこにどうやってどのくらいの渦巻きを描きはじめますか?

まずいちばんの問題は、中心から外に向かって渦を巻いてゆくのか、あるいは逆にいちばん外周から中心に向かって渦を巻いていくかだ。なにもこの作業によって性格判断をしようというわけではないですが、案外面白い結果が得られるかもしれません。

中心からはじめた場合、いつでも好きなところで好きな大きさで渦を止めることができます。べつに画用紙いっぱいの渦じゃなくてもいいのですから。むしろ画用紙からはみ出してしまうほど大きな渦巻きになるかもしれません。どっちにしても、つねに進捗状況をたしかめながら作業が進められ、どこでもストップできるという安心感がありますね。

一方、外周からはじめた場合、それは既に頭のなかにある程度完成した渦巻きのビジョンができあがっているということでしょう。頼もしいじゃないですか。あとはそのビジョンどおり中心に向かってひたすら邁進してゆけばいいのですから。長期的な視野に立って、これはいかにも計画的な人の仕事だという気がします。

僕はどっちかなあ。やはり中心からはじめるかなあ。ちなみにさっきうちの下の子に訊いたら、「まあ中心からだな」と微塵のためらいもなくそう答えやがりました。「で、なにそれ?」「いや、なんでもない」なんかものすごくムカムカしてきました。訊くんじゃなかった。

気を取り直して、次に右回りか左回りかという問題。これはあるよねー。あとは画用紙のどの位置に描くか。最初の点をどこに置くかでも変化しますが、例え右隅から書きはじめたとしても、渦巻きはなにも正円とはかぎらないわけだから、そこから楕円やもっといびつな渦巻きにあとからどうとでも変形させられる。大きさについては、外からはじめる人は最初の一周でそれは決まってしまうことになる。などなど、ふふふん、まあだからなんだということはないのですが。

蚊取り線香の渦が、右巻きか左巻きかというのは、メーカーによって異なるというのはご存知でしたか? いや、その前に、上から見れば下り坂、下から見れば上り坂というのといっしょで、裏返せば右巻きにも左巻きにもなるじゃないかというのは、まあそのとおりなのですが、蚊取り線香には厳密にいうと裏表があるのですよ。

人間にだって裏表があるくらいだから、蚊取り線香にだって裏表があってあたりまえ。触ってみると、触るまでもなく、裏側がいくぶん凹んでいますね。反対に表側が若干丸みを帯びてる感じです。ただし、正確にどっちが表でどっちが裏というかは、いま便宜上そう呼んだだけで、これははっきりとはわからない。裏表がある人間だって、どっちが表で裏かなんて他人に決められないのといっしょです。

で、実はこの記事を書くにあたって某KINCHOというメーカーのサイトを調べてみたのですが、「工場長に聞く」というコーナーに、他社の蚊取り線香が「右巻き」だったので、うちは「左巻き」にした、と少しも悪びれずに書いてありました。

KINCHO 大日本除虫菊株式会社


渦巻きについて僕がこんなにも真面目に考えているというのに、大企業ともあろうものが(おそらくは創業者だと思いますが)、そんな「な~んだ」という理由で蚊取り線香の渦の右巻きか左巻きかを決めたというのはゆゆしきことだと憤慨した次第です。以上が、きょうの結論です。