ヒロシコ

 されど低糖質な日日

映画『陽だまりの彼女』感想(劇場公開時の感想です)

今夜の金曜ロードショーは『陽だまりの彼女』が地上波初登場だそうですね。僕はこれ劇場公開時の2013年11月4日に見ました。そのときはこことは別のブログに、もちろん別のHNで映画の感想を書いたのですが、いまはもうそのブログもありません。ただ、ブログのログだけは自分のパソコンのなかにテキストデータとして保存していたので、ブログネタにも困っていて(笑)ちょうどいい機会ですから、こっちに再掲したいと思います。よかったら読んでください。 

陽だまりの彼女 (新潮文庫)

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映画『陽だまりの彼女』感想

『陽だまりの彼女』を見た。カミさんと僕と下の子の三人で。上の子がひとしきり笑うのは、その組み合わせ、製作者がいちばん想定していない観客の組み合わせだろうねって。言ってることはわかる。確かに周りは恋人同士とか、まだ若い夫婦とか、男女問わず中学生や高校生の友だち同士とか、あるいは大学生やOL仲間とか、そんな感じの組み合わせがほとんどだったもの。僕らは20年以上も連れ添った中堅どころの夫婦だし、それに男子高校生の子ども。

ただし、うちの下の子、松潤さん系の顔立ちだよ。いや、そうとう親の贔屓目に見立ててだけどね。松潤さんのような、あるいは市川団十郎とか海老蔵さん系の目鼻立ちの造作がわりあいくっきりした顔立ち。もし仮に世の中にいわゆる先に挙げた市川系の顔と、一方で中村橋之助さん系のわりとあっさりめの顔立ちの二通りの顔しかなかったとしたら、僕と上の子は中村系でカミさんと下の子はこれはもう断然市川系の顔、というくらいの大きな括りの意味でね。まあここのくだり忘れてください。

この映画のよさをいかにネタバレなしで伝えられるかということに腐心する。恋愛映画であるということはさすがに言ってもいいだろう。松本潤(浩介)さんと上野樹里(真緒)さんのふたりが、中学以来10年ぶりに再会するところからはじまるラブストーリーだ。で、なんといっても一応男代表の僕としては、上野樹里さんの可愛らしさにメロメロというか、晴れた日に雷に撃たれたというか、救援に出てきて満塁ホームラン浴びたようなというか、とにかく一発KOされた。上野樹里さんを見るためだけにこの映画が存在してもいいとさえ思った。

上野樹里さんが、CDショップでビーチボーイズの『素敵じゃないか』を聴きながら自然と体を揺すって踊るシーンなんてもう最高! そこだけでも100回くらい繰り返し見たい。それをまたあとからやってきた松潤さんが、ショップのウインドウ越しに少し離れた場所から見ているときの満ち足りた幸せそうな顔。松潤さんも言うまでもなくかっこいいのだ。

はじめてのデートでは、上野樹里さんがあとから待ち合わせ場所にやってくる。ぼんやりベンチに座って待っていた松潤さんが、ハッと見上げる。そのとき再会以来はじめて彼女の私服姿を見た松潤さん、ピッタリ似合った容姿のあまりの可愛らしさにただもうボー然(わかるー)。言っとくけど松潤さんも清潔そうで誠実そうなシュッとしたかっこなんだよ。まあ恋愛映画なんて、だいたいがこういう美男美女の恋愛に限るね。

もうちょっと書いとくか。松潤さんが上野樹里さんの両親に紹介されたとき、ある事情から彼女の名前の話になる。そのとき松潤さんが、「僕は真緒という名前とってもいいと思います」というふうなことを彼女の両親に向かって言う。あの場面も僕は好きだなあ。松潤さんのやさしさ思いやり奥ゆかしさが自然と出ている。

かなり昔の映画の話で恐縮だが、『荒野の決闘』という映画のラストシーンで、保安官のワイアット・アープが、ひそかに思いを寄せる女性(クレメンタイン)に対して精一杯の告白をするのだが、その言葉が「私はクレメンタインという名前が大好きです」だった。そんなことをちょっと思い出した。

スーパーで買い物をするシーンもよかった。上野樹里さんがカートの前のステップに両足で乗り、そのカートを松潤さんが押して行くところとか。中学時代の真緒はいじめられていて、それをかばった浩介も孤立する。その中学時代を回想するシーンで(これはふたりとも別の俳優さんが演じているのだけど)、並んでブランコ漕ぎながら、クラスの出席番号順に名前を挙げ、どんなふうにをいじめてくるかいかにイヤな奴かを言い合うところすごく面白い。あとはジャングルジムのいちばん上に腰かける真緒を柔らかな陽の光が包み込み、それを下から見上げる浩介とか(タイトルの由来はここ)。

適当に思いつくまま書いたけど、こういうなんでもないふたりの日常描写こそがなにより尊く素晴らしい、ということを僕は言いたいのだ。さすがに今の時代、恋愛要素を盛り上げるための障害もありきたりではつまらなくなったのかもしれないが、基本は、恋人同士がいかに楽しそうでしあわせそうかってことだから。観客が、わたしも(ぼくも)あんな恋がしてみたい、と思わせなくちゃね。僕はこんなおじさんですが、過去形で、あんな恋愛したかった、とちゃんと思ったよ。がはははは……。

ただし、中高生は映画を見たあと、現実という最大の障害が立ち塞がるからキビシイだろうなあ。なんで(自分の相手が)上野樹里じゃないんだ、松潤じゃないんだとかね。恋人同士ケンカにならなければいいですが。

そしてこういう原作ありきの映画は、手柄がオリジナルの小説(漫画)と映画脚色のどっちにあるのかなかなか厳密に分けて考えるのは難しい。それに僕は原作小説未読なので、それについてとやかくは言えない。あと、劇中のビーチボーイズの歌はもちろん大好きだし、山下達郎さんの主題歌もグッときた。クリスマスが近づくこのタイミングの公開というのもよかった。

ネタバレになるようなところにはあえて触れずに感想書きました。でも、あとから振り返って考えても、細かな前ふりがわりとすんなり納得できるかっこうに収まっているのにホッとする。映画の終わり方も、いろいろ好みの問題もあるだろうから全員の気持ちをまとめて斟酌はできないけれど、僕はね、「映画の畳みかたよりそこに至るまでがすべて」だと思ってふだんから映画見ているので、このかたちでもなんら不満はなかったです。   

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