ヒロシコ

 されど低糖質な日日

『チューリヒ美術館展ー印象派からシュルレアリスムまで』感想

国立新美術館で『チューリヒ美術館展ー印象派からシュルレアリスムまで』を見る。ほとんど最初といっていいコーナーに、例のモネの《睡蓮の池、夕暮れ》がある。解説によるとこの絵はタテ2m×ヨコ6mもあるんですね。やはりデカい。けっこうな迫力です。

とはいえ正直いうと、なんとなく睡蓮の池に映る夕日はわかるものの、あとはぼんやりとさすが印象派というか、もはや抽象画のような趣き。実はこの絵の手前に展示されているロダンの彫刻《殉教の女》が面白いのだ。これ検索してもらうとわかるが、《考える人》ならぬ「考えない女(ひと)」という感じで笑っちゃった。ほんとうはもっと深刻なテーマがあるんだろうけどね。

全体としては有名な作家が揃っていて、たとえばセザンヌの《サント=ヴィクトワール山》これもおなじみだけど、見れば見るほどほとんど抽象画の世界。ゴッホの《サント=マリーの白い小屋》は小さな絵だが、いかにもゴッホらしい青と白の際立ったきれいな絵ですね。まあ結局僕はこの絵がいちばんよかったわけだけど。

どんどん思い出していくと、あいかわらずヘタウマ絵のルソー《X氏の肖像(ピエール・ロティ)》はポンチ絵風の愛嬌がある絵。ムンクは肖像画が2点来ていたが、そっちより《造船所》と《冬の夜》にらしさがあった。ピカソ《大きな裸婦》やシャガールの《婚礼の光》《パリの上で》はいかにもピカソらしい、いかにもシャガールらしい、ひと目でだれの作品かわかる代表作のひとつ。

変わったところでは(といういい方も失礼ですが)、ホドラー。ホドラーはいま西洋美術館で『ホドラー展』が開催中なのだ。この人の絵、僕はとくべつ好きというわけではないけれど、「リズムがある」という表現をする人がいて、それはなるほどなあとわかるような気がする。左右対称だったり反復だったりするところ。なんとなく古代エジプトの壁画を思わせるような絵なんかもあるよね。

あと、ジャコメッティの彫刻もあやうい感じがよかった。今回いちばん好きなのはまっとう過ぎてつまらないかもしれないですが、ゴッホの《サント=マリーの白い小屋》で、あと絵葉書を買って帰りたいという気になったのが、ベックマンの《女優たち》。退廃的な感じがすごくそそられた。画家の名前ははじめて知った。

時間がなくそんなにゆっくり回れなくて駆け足。全体的に展覧会そのものも駆け足な印象。良くも悪くも。最後にもういちどモネの絵と《考えない女》?を目に焼きつけて会場をあとにする。それと、これはいっときたいので、ポスターデザインが作家の名前と今回来ている作品をコラージュしたようなデザインで、超クールというかかっこいいい。

f:id:roshi02:20181102184025j:plain