ヒロシコ

 されど低糖質な日日

2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

佐藤正午『鳩の撃退法』(上)(下)を読んだ感想

佐藤正午さんの『鳩の撃退法』(上)(下)を読んだ。冒頭いっけんアットホームな滑り出しから行きつ戻りつするこのなんというか、バタバタとした、それでいてあとから振り返るときちんと計算されつくされている物語を、僕にしてはだけど、まさに一気に読み…

湯本香樹実さんの短編集『夜の木の下で』を読んだ感想

湯本香樹実さんの『夜の木の下で』を読んだ。短編集。短編集自体は僕はあまり得意でないが、どれも不思議な話や幻想的な話でわりと好きな世界だった。なかでもよかったのをいくつか。「緑の洞窟」は、幼いころ双子の病弱な弟を亡くした兄の悲しみが、庭に重…

北欧警察小説の傑作『猟犬』を読んだ感想

ヨルン・リーエル・ホルストさんの『猟犬』を読んだ。主人公はノルウェーの小さな町の警察署に勤務するベテラン警部ヴィスティング。ある日、彼の携帯が鳴り、娘のリーネから思わぬことを告げられる。リーネはタブロイド新聞の事件記者だ。その彼女が言うに…

イアン・マキューアンのスパイ小説『甘美なる作戦』を読んだネタバレ感想

イアン・マキューアンさんの『甘美なる作戦』を読む。舞台は70年代冷戦時代の英国。主人公セリーナは、縁あってMI5のスパイとなり、彼女にとっての初めての単独任務は有望な若手小説家トム・ヘイリーに接近すること。ところがセリーナは、自分の正体を隠し…